いつからだろう……生き苦しいことに気付いたのは、みんなが見ている景色と私が見ている景色は違うのかもしれないと。
小学校の教室という世界が、私には社会の縮図に見えた。
みんなが口を揃えて、嫌いだと言う大人と何一つ変わらない、言動も行動も醜い。
だから、私はそこに囚われたくないから、誰にも邪魔をされない本の世界に逃げていた。
何故だろう……大人たちは貼り付けた笑顔でこう言う。
「子供は元気よく外で遊びましょう」
鬼ごっこも、遊具で遊ぶことも、何が楽しいのか私にはわからない……運動が得意な人が楽しいと思うだけではないのか?
なぜ、好きではない、一緒にいても楽しいとは思えない人達と過ごさないといけないのか……苦痛しかない……
クラスメイトに見つかると、遊びという名の強制連行をされてしまうので、絶対に見つからない秘密の場所に隠れる。それは、プール裏と植え込みの間にある、とても狭く小さな暖かな陽だまり。
そこから見上げる空が、私は好きだ。
いつも考えてしまうのは、生きるって何?
人は死ぬとどうなる?
死んだあとどこへ行く?
大人たちは、死ぬと魂は別になると言っていた。
じゃあ、その魂はどこへ行くの?
私がこんなことを考えてしまうのは、小さい時に亡くなった大好きな祖母が、重そうな鉄の扉に消えた棺のあと、大好きな姿がもうどこにも無く……変り果てた姿になり、祖母はもう会えない、人が死ぬとどうなるのか……強く悲しい衝撃だった。
当時は自分の感情が解らず、ただ泣きじゃくり、優しく背中を撫でてくれる父の温もりを強く感じたく、しがみついていた。
たぶん怖かったのだろう……人がいなくなるということに……
だから、私はクラスメイト達が『死』という言葉を簡単に使うから嫌いだ。
知らないから仕方ないかもしれない、でも私は許せないと思ってしまう。
それなら、一緒にいないほうが、私の心を守ってくれる。
私も何も知らなければ、みんなのように無邪気に世界が彩られているのかもしれない……
「子供のままで」
5/13/2024, 9:52:24 AM