テーマ【大空】
制作者:いと。 12.21 2022 22:03
「...すとん、」
私は暗い路地裏の壁に寄りかかりながら座った。
ー5時間前ー
「ただいま〜」
やっぱり雨の日の学校はやだなぁ、
そんな事を思いながらリビングへ向かう。
「...っ!?」
信じられない光景が一気に私の目を奪う。
私は走って外に出た。
信じたくなかったんだ。
お父さんがお母さんを殴っていることなんて、
お母さんが血だらけになってることなんて...
だから私はずっとずっと走った。走り続けた。
そして今に至る。
ここ周辺は都会っぽくて、全然見に覚えがない。
どこから来たのかもわからない。
どう帰るのかもわからない。
「...」
とうとう無気力になった私は、
そっと目を閉じる。
「起きて..起きてってば...っ!」
「全然起きねぇじゃん。」
「...こいつ死んでんじゃね?」
「そんな事言わないの。」
そんな会話が耳に入る。
私はゆっくり目を開けた。
「...あっ!」
「やっと起きた...」
「ちゃんと生きてたな。笑」
「だからさぁ...」
寝起きで頭が回らない。
でも、一つだけわかることがある。
”男女4人組が私のことを見つめているということ。”
しかも私と同じくらいの大きさで、
まだおとなとは言えないくらいのこども達だった。
「だ、だれ...?」
私は警戒しながらも、相手に話しかける。
「じゃ、私が代表して言うね。」
唯一まともそうな一人の女の子が言葉を発した。
「私たちは、孤独になってしまった子達を
見つけて、一緒に活動するといったグループなの。」
「な、なるほど...?」
「あぁ。俺たちはみんな、
最初ひとりぼっちだったんだ。」
もう一人のクールな雰囲気の男の子が話を繋げる。
「...」
「...きっと”君も”何かしらあったんだろ?」
次は背の高い男の子が問いかける。
「...うん、」
私が返事をした後、元気な女の子が
私に提案を持ちかける。
「じゃあさ!私たちと一緒にこれから冒険しようよ!」
「つらかったことを忘れるくらいにさっ!」
「...」
私は少し黙り込んだ後、その誘いの返事をした。
「...よろしくお願いしますっ、」
「やったああぁ!!」
私は雲ひとつない綺麗な大空の下で、
ちょっぴりおかしくて面白いグループに
加わることになった。
「...懐かしいなぁ、」
「みんな、元気かな...っ」
私はあの頃のことをふと思い出した。
あの時の空と今日の空がとても似ていたから。
「......」
私たち、僕たちはずっとこのままではいられない、
と9年くらい経った頃薄々感じていた。
ずっとこどものままじゃ、だめなんだって。
だから、
”いつかきっとどこかでまた会えることを信じて、
さよならしよう。”ということになった。
( 「寂しくなったら、みんなのこと思い出そうね!」 )
( 「あぁ、そうしよう。」 )
( 「また会おうな。」 )
( 「うん、きっとまたどこかでね。」 )
( 「うん、またどこかで。」 )
またねっ!/またなっ!
きっとまたこの大空の下でみんなと会える。
今も、多分これから先もずっとずっと私は、
そう信じている。
12/21/2022, 1:00:31 PM