NoName

Open App

 すれ違った人から懐かしい香りがして、思わず振り返った。もちろん違う人なんだけど、君からいつも漂っていた。キリッとして、さわやかな輪郭が残るその香りが、とてもよく似合っていた。

 君のことが大好きだったころ、うまく思いを伝えられなかった。いざ二人になると、妙にカチコチになって、自分らしくいられなかった。どこか無理をしていたのかもしれない。

 でも、とても魅力的だった。今はその思いがすてきな面影になって、心の奥にしまってある。


「大好きな君に」

3/5/2026, 9:17:35 AM