恋物語

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俺は「正直」が苦手だ。
だから、恋愛も上手くいかねーし、俺の周りからはみんな離れていっちまった。というか、不良だとか、日々暴力をしているだとか変な噂は立てられたせいか、みんな俺のことを怖がっていた。

別に悲しいとかねーけど、さっぱり寂しい、ような気もする。
いつも通り住み心地最悪な、教室からは逃げるように一人屋上へ行く。俺が屋上を使い始めてから屋上に来るやつはいなくなった。

いつも通り屋上のドアを開けた、だが目の前の光景に動きを止めた。
人がいる。女か、、転校生か?見た事ねー背格好だな。
小柄なそいつに吸い込まれるようにして俺は歩いた。

「なぁ、こんなとこで何してんだ」
我ながら怖え言い方になっちまったことを、申し訳ねーと思った。
思った通りそいつはビクビクと怯えてそのままドアへ一直線に走ってった。
反射的に掴んでしまった腕。

「あ、悪ぃ。お前、転校生か、?」
できるだけ優しい声でよくわかんねぇ質問をした。

「そ、、そ、そうです」
やっぱり怯えながらそう答えた。

こいつ、、かわいーな。

いや、違う。そんなこと思っちゃいねーよ、好きとか、そんなんじゃねぇ。
そう心に言い聞かせた。

その後いろいろあって一緒に飯を食うことになった。

「お前の弁当美味そうだな、からあげ1個くれよ。あ、俺のウインナーやるから、」

「タコさんウインナー可愛いね、美味しそう」
小さな笑みをこぼした。顔に血液が集まるのを感じ目をそらす。

「な、なぁ、俺と友達になってくんねーか?」
タコさんウインナーを、頬張りながらコクコクと頷いた。
嬉しかった。初めて正直にそう思った。


そして、現在。俺は社会人5年目を迎えた今年。あいつとは同棲した。
いつか、結婚したいな、なんて。
高校の時よりかは、多少丸くなったと思っている。

よる9時、家に帰ると彼女は晩御飯を作っていた。
今日のメニューはタコさんウインナーらしい。思い出の品だから、と言って晩御飯とは思えないメニューだが、彼女の一番好きなメニューだ。

「「いただきます。」」
手をおわせそして、橋を握る。
可愛い顔をしたタコ達を口の中に放り込んでいく。

「なぁ、俺のプリン食っただろ」
「えぇー知らないなぁー」と、しらばっくれる彼女。
「こらっ!うそつんじゃねぇ!」クスクスと笑う彼女。

あぁ、幸せだなぁ。
あのプリン、本当はは彼女のために買ったなんて絶対言えねぇ。


彼が「俺のプリン」とか言いながら本当は私のために買ってると、知っている。だって、、寝言で言ってたんだもん。

ごめんね、と彼には一応謝っておく。









「ごめんね」

5/29/2024, 10:33:45 AM