夏の雨

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やっぱり寂しかったのかも。
「………」
「ねぇ〜聞いてる?……ん?」
「……なんですか。」
そう聞くと、先輩は慌ててハンカチを渡してきた。
「ちょっ…君泣いてるよ?大丈夫?」
「えっ?」
確かに頬を触ると生暖かい物があった。
「なっなんで…?」
「もしかして気づいて無かった?!」
「は、はい。」
「まじぃ?じゃあなんで泣いてるかも分かんない?」
泣いてる理由…か。…そうだ、
寂しかったんだ…。
「へぇ?寂しかったの?」
「えっ声出てました?」
「うん。めっちゃ。」
…恥ず。
「………忘れて下さい。」
「忘れられるわけないじゃん?」
へらりと笑っているが、目は少し申し訳無さそうに泳がせている。
「すみません…」
「怒ってはないよ。でも寂しかったら言ってくれれば良かったのに…」
「そんなの恥ずかしくて言えないですよ。」
「ツンデレかよwww」
「違いますっ!」
話してるうちに、涙も止み、心のもやもやが晴れてきた気がした。
「…今日は一日中歩くんで覚悟して下さい。」
「なに仕返し?残念だけど俺体力あるんだよね〜」
「………はぁ。」
思わずため息が漏れる。
「疲れた?休む?」
「少し歩いただけで疲れないですよ。ずっと歩いてたんで。」
「そう?ならいいけど、無理しないでね。」
「分かりました。」
「それと…」
「絶対に寂しかったら言うこと!何かあったら言う!」
「っ!」
先輩を見ると、緑色の瞳が俺を見据えていた、
「いい?」
「は、い」
「絶対だよ!」
「は、はい!」
何度も頷くと、先輩は満足そうに微笑み前を向いた。
「旅の再開だ!」


#雫
前回の続きです。
雫って漢字なんかかっこいいよね!涙よりも雫の方がかっこよく感じてしまう……

4/21/2023, 10:35:44 AM