Episode2. さよならを言う前に
___そこで、彼らは突き落とした。
この村に"コレ"を密告する者はいない。
彼らは躊躇わなかった。
彼らでさえ知りもなかった。
こんな話を聞いたことはあるだろうか。
ある森の中に、小さな村がありました。
そこは平和そのものをあらわす村でした。
かつての村長は、こんな掟を残しました。
"極限状態"に陥った場合、村人を排除しなさい
その日から村の空気がガラリと変わりました。
ある家族が、みんなバラバラにされていました。
次の日、隣の村人が丸焦げになっていました。
また次の日、村の子供が消え去っていました。
この村は、崩壊寸前になったのです。
ある日、そんな村に1人の青年がやって来ました。
その青年はこう告げました。
「"極限状態"とは、まさに今であろう。
苦しくて仕方ないのだろう?可哀想に。
だが安心したまえ。」
「僕がこの村を変えてやろう。」
村人は僅かな希望を胸に、青年の言葉に耳を傾けた。
青年は、村人を1人ずつ呼び出しこう質問する。
「この村の悪魔は、一体誰だ?」
ある村人は"村長"と。
また、ある村人は"別の村人"と。
青年は、最後の1人には質問を変えた。
「お前は、悪魔か?」
その村人は"悪魔は俺だ"と。
青年と村人は、薄く笑みを浮かべた。
そして、青年から最後の言葉が告げられる。
「これより、お前らを悪魔から解放してやろう。」
村人は、久しぶりの笑みを浮かべた。
ああ、なんて哀れなのだ。
ああ、なんて滑稽なのだ。
ああ、きっと運命なのだ。
数年後、その村は見つけられた。
すでに廃村であり人の気配もない。
そんな村で、何かを書き残された紙が発見された。
その内容とは_____
"極限状態"とは、一体何なのか。
それは、好奇心で溢れた醜く、穢らわしいものである。
僕は悪魔だ。僕は悪魔だ。僕は悪魔だ。
楽しいショーが、始まったのだ。
〇〇〇○年△△月✕✕日
??島のとある村で、連続殺人事件が発生していたことが明らかになりました。
捜査官の調べによりますと、何者かによって残されていた書物から、この村には"悪魔"が存在していたと見られるそうです。
また、この村についての詳細はまだ明らかになっておらず、現在も懸命な調査が行われ__________
ピッ
「さよならを言う前に、少し楽しませてもらおうか
さあ、ショータイムだ。」
8/20/2023, 1:10:17 PM