【君が見た夢】
目標:流れに沿って書く。不自然さが出ても仕方ないと割り切る。
「未来は既に決まっていて、絶対に変えられないんだよ」
君は突然立ち止まって呟いた。その目の先にはクロワッサンがデカデカと描かれた看板がある。
「欲しいのか?」
「ほらね。いらない」
君はしてやったり、とでも言うようにニヤリと笑って受け流した。
どうやら君が見た夢の一部だったらしい。随分とピンポイントな予知夢だ。
「じゃあ、君が死ぬのも絶対に変わらないって言うのか?」
「嫌だけどね。でも夢で見ちゃったんだもん。仕方がないよ」
あっけらかんと、恐怖すらも感じさせなかった。無理して虚勢を張っているようにも見えない。本当に、死ぬことを仕方がないとしか思っていないみたいだった。
「……そんなもんで死んでいいのかよ」
むず痒い気持ちだ。3日前話したばかりで、お互いのこともよく知らない。それでもそんな風になんでもないように、簡単に死を受け入れる姿は受け入れられない。
「不本意なんだって。それに、もし死にそうになったら守ってくれるんでしょ?」
……そう言われると何も返せない。
「それにしても本当、ビックリしたなー。突然デートに誘われるなんて。今後のために教えておくけどさ、もうちょっとお互いの趣味とか好きな物で話を盛り上げて、ムードとか作ったほうがいいと思うよ」
「そんなことを言って君は誘いに乗ってるじゃないか」
「これは特例だよ、特例。私、これまでお付き合いした人いないの。どうせ今日死ぬんだし、だったら最後の思い出にって」
「だったら俺も特例だ。デートだったら一緒にいる口実を作れる。君が死ぬ未来を回避できるかもしれないだろ」
「この後に及んでまだそんなことを……」
君は呆れたように笑う。
「ま、だとしてもそれなりに楽しかったよ。誘ってくれて嬉しかった」
「こんなんでよければまた誘うよ」
「……」
君は黙って、悲しそうに微笑む。そんなことはもう起こらないと決めつけていた。
「絶対、誘うよ」
その時だった。後ろから突然鈍い音が響き、重いものが地面に落ちる音が響いた。周りから悲鳴が上がる。
咄嗟に振り返ると、こちらに突っ込んでくるトラックの姿があった。
突然の身の危険に、時がスローモーションになる。
目を瞑り、衝撃に備える。
そして、弾き飛ばされた。
__横に。
大きく吹っ飛ばされた体は、地面とぶつかって痛みを脳に送った。
顔を上げると、さっきまでいた場所に、トラックの姿はなかった。もちろん、少女の姿も。
ようやく気づいた。君が見た夢の内容を。
【あとがき】
最近調子が悪いです。どうもオツワイです。
上手く書こうとして悩み、とりあえず完成させなきゃ、で愚鈍な品物をお出しする、それ以上に恥ずかしいことはありません。
私はチャッピーを結構使って反省とかをする人間なのですが、今の私はどうやら上手いこと書こうとしすぎなようです。ほんと笑っちゃいますよね。最初は「描きたい」だけだったのに、だんだんと「認められたい」になって、いつのまにか「上手く書かないと」になっている。趣味が義務にすり替わっている。本当、文章というのはままならないものです。
12/16/2025, 1:06:41 PM