もあ

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⚠未完ですし、書く気力は尽きたので多分追加されてるなんてことはありません…続きはご想像にお任せします(˙˙ㅅ)


耳を澄ますと

ある夏の朝。白いレースのカーテンが揺れる部屋で、肩まで伸びたふわふわな茶髪の少女とマジックが上手で世界一かわいい(という少女の設定だ)のうさぎ伯爵が話をしていた。
「最近、よく夢を見るの。
見ると言っても、いつも景色は同じで知らない海。透き通った青色がとっても綺麗なのよ!
ボーッと海を眺めてると誰かの鼻歌が聞こえてきて、私はなぜだかすごく嬉しい気持ちになって一緒に歌い出すの。
でも、誰かが後ろから引っ張ってくるところでその夢はいつも覚めてしまうわ。
おかげで最後まで歌いきったことは1度もない…どこかで絶対に聞いたことがあるのに、ずっと分からないままなの!
いったいどこで聞いたのかしら………」

「デイジー!そろそろ起きてらっしゃい。」
(あら、いけない!ついつい考えすぎてしまったわ)
「今行くわ!」
「うさぎ伯爵、お話を聞いてくれてありがとう!
朝ごはんを食べたらまた戻ってくるわ。でも、今日はあまりゆっくりは出来ないのよ。今日からマリアおば様のところへお泊まりに行くんだから!
マリアおば様は伯爵のお洋服を縫うと言ってくださったの。きっと伯爵も気に入ると思うわ!」
おしゃべりな少女はひとまずうさぎ伯爵を椅子に座らせると、階段を降りていった。

「おはようデイジー。もう用意はした?」
「おはよう、お姉様!ううん、まだなの。ご飯が終わったらするつもりよ」
「分かったわ。一緒に確認してあげましょうか?」
「あら、お姉様ったら私を子供扱いしてるのね。もう11歳になったの1人で荷物くらいまとめられるわ!」
「ふふ、そうだったわね。じゃあ早く食べちゃいなさい」
「ええ!」

「ご馳走様!美味しかったわ!」
「はいはい、早く準備してらっしゃい」
あっという間に食べ終えた少女はパタパタと階段を駆け上がって行った。そして部屋に入るなりタンスからあれこれ引っ張り出した。
「どれにしようかしら…キャップもオシャレだけれど、海沿いの街と言えばやっぱりつば広帽子かしら?
あら?ニット帽があるわ。衣替えはもうとっくに終わったのに、しまい忘れちゃったのね
ワンピースは…これにするわ!あ、でもこっちもいいかもしれないわ…」

「そろそろ時間よ〜!準備出来た〜?」
「えぇ!?もうそんなに時間が経ってしまったの!ぇぇと…どっちも持って行くわ!
行くわようさぎ伯爵!」

「お金はちゃんともったわね?気をつけていくのよ」
「ええ、行ってくるわ!」
少女は元気よく返事をしてバスに乗り込んだ。
見送りに来てくれた姉に見えなくなるまで思い切り手を振ったあとは、「このまま、13番目の駅まで乗っていけばいいのよね!」



「う〜ん…やっと着いたわ…ずっと座ってたから体がカチカチ…」
「……わぁ〜綺麗!」
「街のこんなすぐ近くに海があるなんて!
あ、おっきな貝がら!昔読んでもらった絵本によれば…耳を当てると海の声が聞こえるのよね?」
『らんらーらーらら…』
「!ほんとに聞こえるわ!」
『ららら〜ら〜 ららら〜 ららら♪』
「…?この歌どこかで…」

『ら〜らんらら ららら』「ら〜らんらら ららら」
声が重なる
『!』
『デイジー?』
「えっ?」
美しい金色の髪の少女が声をかけた。
「私のことを知っているの?」
『もちろん知っているわ。あなたは…覚えていないのね』
「えっと、ごめんなさい」
『謝らなくていいのよ。覚えている方がおかしいの』
「おかしい?どういうこと?私、記憶力はいいほうなのよ。それに、あなたみたいな綺麗な髪を持った人を忘れてる方がよっぽどおかしなことだと思うわ!」
『…あなたはこの髪をよく褒めてくれるわね』
「昔の私も髪を褒めてたの?」
『そうよ。……もうすぐ雨が降るわ早くマリアさんのお家へ行かないと濡れてしまうわよ』
「雨?雨なんて…」
ポツ─
ついさっきまで晴れていた空にはいつの間にか灰色の雲がかかっていた。
「たいへん!うさぎ伯爵まで濡れてしまうわ!
教えてくれてありがとう。私もう少しはこの街に泊まるのまた会いましょう!」


『また……会えるといいね』

5/4/2024, 1:43:17 PM