雪川美冬

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ツンデレのツンは愛情の裏返し。ツン要素が強いほど素直に甘えてデレることのできない不器用でかわいい人なのだ。
僕の幼馴染はツン要素が9割のツンデレだ。
「はぁ?自惚れんないで、お前なんか嫌いよ」
だからこのツン要素しかない言葉も幼馴染なりの愛情の裏返し。でなければわざわざ一緒に登校するために迎えに来たりはしないだろう。
嫌いだと宣う相手を迎えに行く理由は嘘か、打算以外ないだろう。
そして僕は圧倒的に前者としか思いたくない。
「僕のこと嫌いなら先行けばいいのに」
「お前がわたしと一緒に登校したいと思って迎えに来たのだけど、違う?違うなら別に後々一人寂しく自分の言葉を悔やみながら登校すればいい」
うん、かわいい
そっか、僕が一緒にキミと登校したいのか。そうかそうか
「ごめん、ほんとはキミと一緒がいいです。でも迷惑かな?って」
あからさまな安堵の表情かわいい。
「迷惑なんて幼馴染なんだから今更よ。くだらないこと言ってないで早く準備して。わたしをいつまで待たせる気?」
ああー、本当に可愛い僕の幼馴染。
ちょっと上からなのも照れ隠しだよねかわいい。
そうなこんなで準備も終わり登校中。高校生にもなって幼馴染と登校なんてすれば周りからは揶揄いの眼差しで見られて冷やかされる。
でも僕はそこんとこちゃんと徹底している。
「女王さま、なんか飲みたいもんある?」
自販機の前を通れば問いかけ不機嫌顔でいらないと返された。
「前から思っていたけど、お前はわたしのこと高飛車で幼馴染を下僕としか扱ってない女にでもしたいの?」
「え?僕キミの為なら下僕にでも奴隷にでもなんにでもなるけど」
 あ、ちょっと照れた。
「じゃ、じゃあわたしがお前のこと……」
 これはそろそろデレるか?
「永遠に臣下としてそばに控えさせてあげるわ。感謝しなさいよ」
 わかりにくいがこれは恐らく、『永遠に一緒に居よ?」ってことなのではないか?
「一つ忠告よ。元来、女王様の臣下というのは高い教養が必要になるの、このままじゃ不釣り合いよ。釣り合いの取れる存在になりなさいね。これは命令」
うん、かわいい。
今日からキミは僕の幼馴染兼僕の女王さま。キミが認めたんだから撤回なんてさせてあげない。

8/22/2024, 11:05:54 PM