星を満たす透明、底知れぬ神秘
あるいは、魂を陥れる腐敗の鎖
いずれも人々を導き、やがて還すもの
蟻が摩天楼を知り得ぬように
我等は星の航路と最果てを見通す眼など持たない
持たざる者は挙って空を見上げた
名も無き星々に標を求めた
天の縮図は人造の奇跡
罪であり、救いなのだろう
宙の旅を終えるまで、我等を定めるものは我等のみ
声無き使者に、姿無き像に、何物も委ねてはならぬ
持たざるが故に、我等には両の腕がある
かつて我等は産声を上げた
例え一人に望まれずとも、千紫万紅の竜となり
死を踏み越えて、いざ空を渡る船となる
いつか枯れた翼を捨てる頃、透明の飛沫に包まれたい
硝煙を飲み込む、大河の源へ
(七色)
3/26/2025, 12:29:44 PM