私は雨に濡れるのが好き。
雨に濡れて、びしょびしょになった髪が好き。
体全体が濡れても、止まらずに体を濡らし続けてくれる雨が好き。
「なぜ好きか」と言うと具体的には思いつかないが、心のモヤモヤややるべき事を、全て忘れられる気がするのだ。
小学生を卒業してから、雨を見る度に「ずぶ濡れになりたいな」と思うことが増えた。
小学生の時は、大雨の中傘を刺さずに帰る人が7,8人ほどいたが、中学生にもなると、傘を刺さない人はほとんど居なくなってしまった。
そりゃあ精神も大人になってくるので、「わざわざ傘を刺さずにずぶ濡れになりたい」と思う私はかなり少数派だろう。
雨に降られてずぶ濡れになっていた日を思い出すと、懐かしいという思いと共に、寂しいなという思いも浮かんできた。
最近、親しい友達と近くでやっていたお祭りに行った。
天気は快晴。特別な日に快晴になると実に気分が良かった。
しかし、祭りの終盤ら辺で雨が降ってきた。
最初は気にならない程度だった雨も、だんだん勢いを増し、いつしか祭りに来ていた人がほとんど帰っていく始末。
さすがに傘をさすか、となったが、傘は私が念の為持ってきた折り畳み傘一つ。
しょうがないので相合傘をして雨宿りの場所を探した。
雨宿りの場所を探して五分ほどだった頃、何故かどうしょうもなくうずうずしてきた。何だろうな、と思ったが、過去の体験から「ああ、雨の中に行きたいのかな」と思った。
「流石にダメか」とも思ったが、人もほとんどいないし、たまにはいいか、と思い、友人に傘を預けて雨の中に踏み出した。
途端に、たくさんの雨粒が私に降ってきて、傘や浴衣を濡らした。
「あぁ、この感覚だ…!」
私はとても楽しかった。
久しぶりの感覚に、体が喜んでいるような気がした。
私は手をいっぱいに広げ、雨を感じた。
涼しくも暖かくも感じる雨は、勢いを無くさずに降り続けた。
友人と別れ帰宅すると、母が「なんでそんな濡れてるの!?傘持ってってなかったっけ…?」と心配してきた。
流石に「自分から雨に降られた」とは言えないので、傘を落としてしまったが、見つけて帰ってきた、と嘘をついた。
ベッドに入った後も、久しぶりに子供心が爆発してしまい、ずっとドキドキしていた。
また機会があったらずぶ濡れになりたいな。
「相合傘」というお題要素薄めですみません> <
6/19/2024, 12:03:22 PM