夜歌

Open App

 ああ、また気分が落ちてきた。自分にかかる重力がズンと大きくなった錯覚に陥って、何をするにも疲れるようだ。肥大した自己肯定感の低さは、僕の些細なやる気を一瞬で根こそぎ持っていく。頭の片隅では解っているのだ。満ち欠けがあっても月が月であるように、どんな僕も僕でしかないことを。
 それでも、今の自分には“何か”が足らず、その“何か”を手に入れさえすれば、僕はついに円を成せるのだなんて。そんな根拠のない期待に、性懲りも無く縋ってしまう。“何か”の正体も解らないくせに。僕は僕のことを、認められないのだ。


――――――――――――――――
不完全な僕

9/1/2023, 9:52:13 AM