同じ町内に住む男の子がいた。その子は私を「お姉さん」と呼び慕って、たまに家に遊びに来ていた。
ある夏の日。倉庫の中から古びたインスタントカメラと、専用のフィルムが出てきた。撮影すると直ぐに写真が現像されるものだ。
「お姉さん、なにそれ?」
男の子が私の手元のカメラを覗き込む。私はカメラである事を話すと、試しに男の子の写真を撮った。
真っ黒だった場所に、少しずつ男の子の姿が浮かんでくると、彼は目を丸くして驚いていた。
「お姉さんと一緒に撮りたい」
私は頷くと、男の子と互いに身を寄せて写真を撮った。しかしカメラのレンズが少し特徴的であるからか、なかなか二人を一枚の写真に収めることが出来なかった。
何度目かの挑戦で失敗したところで、男の子が閃いたように言った。
「お姉さんが写ってるのと、僕が写ってるのとをくっつければ、一緒に撮った風に見えないかな」
男の子の言う通りそれぞれが写った写真を並べてみれば、それは見事に一枚の写真を分けたかのような構図だった。
男の子は少し頬を赤くして嬉しそうに笑うと、その二枚を大事に持って帰った。
「青い青い」
2025/05/04
5/3/2025, 7:26:30 PM