題:柔らかい光
木々の葉の間から零れる光が心地良い場所。
私は、その場所で、ピーチさんとベンチに座って話していました。
「昨日デイジーとしたんだけど……」
「うんうん」
「デイジーったら、紅茶とコーヒーを間違えたのよ!?飲んだら苦っ!ってなって!」
「おっちょこちょいなんですね」
「全く、おっちょこちょいの度が過ぎるわ」
ピーチさんは怒っているように言いましたが、顔は楽しそう。
よっぽどお茶会が楽しかったんでしょうね。
「ロゼッタは?お茶したりしないの?」
「うーん……。人を呼ぶ機会がないので……」
「そう?じゃあ、新しく入ってきた子とお茶して、カートのコツとか教えてあげたら?」
「でも、お茶くらいはゆっくりさせてあげたいです」
「優しいのね」
ピーチさんが驚いた表情をこちらに向けてきましたが、私はそこまで厳しくありませんので。
真面目では、ありますけどね(自分で言っちゃう)。
それに、新しい人とは、ほとんど話したことないんですよね……。話す機会ないし。
「…では今度、ピーチさんをお茶会に誘います」
これしか無いと思った。
新しく入ってきた人とはお茶をするほど仲はよくない。
私が一番仲がいい人は……。
「え、私?」
「うん、私」
ピーチさんしかいない。
この人といると落ち着く。楽しい。あっという間に時間が過ぎる。
この人とお茶をすれば、きっと楽しい。
「私で良ければ……」
恥ずかしそうにモジモジするピーチさんを微笑ましく思います。
と、ピーチさんがいきなり立ち上がりました。
「もうこんな時間よ!休憩時間あと3分で終わっちゃう!早く戻らなきゃ!」
「え、もうですか!?」
「そうよ!」
ダッシュで会場へ向かうピーチさんの後を、私も走って追っていく。
ほら、あっという間に時間が過ぎた。
絶対、この人とお茶しよう。
そう思いながら、私は走っていました。
木漏れ日の跡を、ベンチに残して。
お題『木漏れ日の跡』
11/15/2025, 12:56:38 PM