華音

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突然の君の訪問

机に向かって、ひたすらプリントと向き合う。
どう頑張っても、どう計算しても答えが合わない。そんなこんなで、数字が書かれた紙に向かい合って、もうどのくらい経っただろうか。
今日は全然勉強がはかどらない。この後ワークにも手をつけなきゃいけないし、レポートを作るための情報を集めなきゃいけない。
他にもやる事を思い出しただけで、憂鬱になってくる。
今日は青空いっぱいに広がるいい天気なのに。僕は一体何をしているんだろう。
僕は頭を抱えた。家の中で小さな机の上で、ため息を着く。
すると、突然僕の肩にふわっとした毛の塊が横を過ぎる。
この黒いフサフサした毛並み、狭い場所を器用に通る体。
ーー飼い猫のゴマだ。
ゴマは僕のプリントの上に我が物顔で乗っかってくる。まるで、ここは俺のスペースだとでも言うように。
「ゴマ〜……課題やるからどいてくれよ〜……」
僕はゴマの機嫌をとるように綺麗な毛並みを撫でる。しかし、ゴマはふん、と満足いかない顔をする。
……これは、ゴマなりの甘え方だ。
ゴマは気分屋で、意外と甘えたがりだが、「かまって」というアピールはしない。
代わりに、僕の作業を邪魔してくる。今回もそうだ。
本当は、課題もやらなきゃいけないけど……
「ゴマを優先しないとダメだな。」
僕はふっと笑って、ゴマを机からおろし、僕も椅子から立ちあがった。
突然の君の訪問。宿題をやらなきゃいけない僕にとっては不都合だったけど、君がいなきゃ僕は多分永遠に問題が解けなかったよ。

8/28/2023, 2:15:22 PM