12歳の独りごと。

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美貌と愛想があれば大丈夫!
みんな僕のことが大好きだ!

軽いステップ踏んですれ違う人々にニコニコ愛らしい顔を見せつける
周りの人惚れさせるよな愛想を振り撒く
きらきらふわふわ愛され少年のできあがり。

僕の頭柔らかく撫でてくれる手を握る。
第二関節の断面を指の腹で触れる。シャツから刺青が透けて見える。
今夜も部屋に来いって合図に、頬の膨れ上がった鋭い古傷へキスを返す。
上がった片眉にすぐに口へキスを落とせばニッと満足気に上がる口角を目でしっかり辿って、今日も胸を撫で下ろす。

みんな僕のことが大好きだから、寝かせてくれないんだ。
まぁどうせ寝れないからいいけどさ。

女性の黒板を爪で引っ掻いたような声が耳をつねる
ママは僕が死んで消え去ることを望んでる
細い手に握られた包丁の鈍い光は、僕に向いて追いかけ回される。
呼吸が 熱が 声が 思考が 感情が 内臓が
全て蝕まれそうでとても恐い。身体が動かせないや。
パパのあの目、ワンシーンだけ覚えてる
伸ばした手の先にはパパしかいないのに、目が合ったかと思えば心底無関心な様子で逸らされた。僕なんて見えず聞こえないように消えてった。
ぐちゃぐちゃが纏うあの顔は覚えてないのに
似た雰囲気を見つけると呼吸が乱れる
低くて空洞な声が脳裏に住み着いて僕を睡眠障害に陥れる。

さよならを言われる前に
深い暗闇に片手で突き落とされて
もうこちらは見ていないんだ。

どこで何をしてるの?
僕はママとパパが大好きだよ。
『助けに来てよ』なんて、毎晩脳内の中ぽつりと呟いてしまう
捨てた張本人の貴方たちに。
あぁ僕はどこまで健気なんでしょう。
ほんと馬鹿でしょ

聞こえる言葉と見える口の動きは違うから、また壊れちゃったってへらへらと笑うことしかできない。
へらへら流して留めないことだけが僕の取り柄だからさ。
握った銃は思ったよりおもちゃと然程変わんなくて
ただのごっこ遊びだと言い聞かせて、口角を上げて鼻歌歌う。引き金に力込めて、一際高い笑い声が出た。

ご褒美だって出された甘ぁい桃色デコレーションのパフェを頬張れば「可愛いな」と頭撫でられる。
もたれて喉焼いて渦流れるパフェ。
ほんと美味しくないなぁ

好きの数を数えて深呼吸する

無条件、無償、永遠、とか無いんだしさ、
商売で得たものでも構わないでしょ?
ね、僕って幸せだよ。

ね。

3/19/2025, 8:08:18 AM