りひと

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2025/07/14(月)『夏』


昔あった駄菓子屋さんは無くなっていた
代わりにそこにはコンビニがあった
気温が35度を越えた暑い日に実家に帰った
数年ぶりの実家は変わらない
なのに町並みは跡形もないほどに変わっていた

友達と遊びに行った公園の敷地は減り、新しい家が建っている
その公園で響いていた子供の笑い声などもうない
公園なのに「静かに!」という看板ができている

暑い日差しと涼しい風に包まれたあの坂道は…
彼女に告白した神社は…
あの頃の彼女と笑い合った土手は…
おばあちゃんが買ってくれたアイスの味は…
夏休みうるさかった蝉の声は…

気づくと次々に思い出が巡ってゆく
何気ない日々だったはずの一つ一つの出来事は
意外にも覚えているものだ
あの日々は僕にとって宝物であったに違いない
キラキラしていて、値段なんて決められない
でもその時は宝物だなんて気づけない

今日も一面青い空に入道雲が目立っている
夏の暑苦しくて清々しい匂いがする

変わったのは街の風景なのか
僕の感性なのか
いつの間に変わってしまったのだろうか

7/14/2025, 4:02:12 PM