またやってしまった。
書庫の整理をしていたら、年季の入ったスクラップブックがバラけて中身が床に散らばってしまった。
明かり採りの小さな天窓から射し込む陽に、埃がチリリと輝きながら舞い上がる。
黄ばんだ紙面を日付順に重ねていきながらも、ついつい記事の内容に目が行ってしまう。
植物園で珍しい花が咲いた、農場で双子の仔牛が産まれた等、取り留めのない日常の一コマのような記事ばかり。
君が生まれる前の日付なので、ご両親の何方かの物なんだろう、と思いながら一枚ずつ拾っていく。
と、サーカスのライオンが脱走した、という記事の次、色褪せたセピア色の写真が数枚。
どの写真も、生まれたばかりの赤ん坊の君が写ってた。
……貰っておこう。
テーマ「無垢」
6/1/2024, 8:06:32 AM