#46.5 街
ボクの住んでたところは、港街。
船で沖に出ると伴侶の誓いを行う場があるんだ。
だから人が多くて活気もある。
でも街並みはきれい。
ボクは店番をしながら、通り過ぎる幸せそうな二人を見ていたよ。ボクんちは船大工だからね。よそのお客さんはほとんど来ないんだよ。
え、におい?
うーん…花の匂いかな。
サカナ?においはしないよ。
サカナは獲らないんだ。お祝いの街だからね。
そういうのは、すぐ隣の街でしてるよ。
あー、うん。他の店は観光船しかやってないところもあるよ。でも、うちは技術が落ちないように、わざわざ隣や他の街からも仕事をもらってたんだ。
どう?すごいでしょ。
やだなぁ、父さんのことは言わないでよ。そりゃ、父さんにはまだまだ敵わないけどさ。でもボクだって負けてないんだから。
ねえ、船長もそう思ってるでしょ?
(#42のボクっ娘)
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#46 街
都会は、あまり好きじゃない。
良いものも、悪いものも何でもあって、
変化は止め処なくて。
ビルの谷間は、においに溢れて落ち着かなくて。
道には何だか分からないものがよく落ちていた。
それでも、毎日のように同じ道を通った。
街に溶け込もうと服も背伸びして、
周りと同じような速足で歩いてた。
今は、色々と変わっていることだろう。
もう遠い、あの街。
6/11/2023, 5:05:00 PM