美夜

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 『バレンタイン』


 今日はいわゆるバレンタイン。
 『明日、一緒にチョコ買いに行こう!』と昨日彼と約束してたので、仕事を定時で切り上げ駅前で待つ。
 遅れてきた彼と合流し、早速街を練り歩いた。
 「やっぱりあそこのデパ地下が良いと思うんだよね!」
 と意気揚々と歩く私に彼が付き合ってくれる。
 「俺にくれるっていうより、自分が食べたいんだろ?」
 「まぁね~♪」
 笑って私の頭を指先で小突く彼。私は笑顔全開で彼に寄り添った。


 「沢山買っちゃったね~」
 外へ出て、バレンタイン限定デザインの可愛いショッパーをたくさん持って、その中からひとつを選んで取り出す。
 「はい。これあげるね。」
 「ありがと。」
 彼は受け取って箱を覗いて眺める。
 「中身ちゃんと覚えてるの?」
 「うん!もちろん。これが本命だから!」
 と、自信満々に答える。
 「こんなに沢山食べられるか?」
 「うん。日持ちするから大丈夫!」
 そんな彼に、はにかんだ笑顔で誘った。
 「帰ったら、一緒に食べようね。」
 彼は私を見つめて、フッと笑ってそっと髪を撫でた。
 「帰る前に、食事行こうか。」
 「うん。」
 荷物を持ち替えて手を繋いで、しばらく華やぐ街をゆっくり歩いた。

2/14/2023, 10:39:31 AM