時雨

Open App

君の声がする
君はいつも私の周りを楽しそうに回る。
「ぷぅーん」という音を立てて
そんな貴方にそっと私から煙が出る緑の渦巻きの
プレゼントをささやかながら贈ろう。

今日から君の声が聞こえなくなる。
少し寂しくはなるがその代わり快適な日常が私を待っている。
そんな期待とは裏腹に私の背後から近づいてくる奴が
いるとはつい知らずに、、、


「身近な敵」
さて、ご飯にするか
私は席につきふと冷蔵庫の下を見た。
触覚が生えた焦げ茶色の奴と目が合う。

時が止まり私はそいつから目が離せない。
やつが動く。
すかさず私はテーブルの上にあるあらゆる物を投げ奴の息を止めにかかる。
だが奴は私の動きにピクリとも動かず静かに透明の羽を広げ飛び立つ。
私は思いっきり腹の底から声を出す。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」
慌てすぎて机の角に小指をぶつけたが今は恐怖心が勝ちそれどころでは無い。

奴の目的はなんだ、必死に頭を捻らすが出てきた答えは
「昨日油物を排水溝に捨てたまま水を流さずに3週間くらい放置した自分のマヌケずらの顔だけだった」

私は自分の行いを悔やんだ。
奴はカサカサと嬉しそうにその場で動く。
まるで奴は私の弱みを握っているかのようだ。

まだだ、負けていない。
私は近くの戸棚に飛びつき救世主を探した。
「あった!!」と思ったらファブリーズだった。
肩を落とす。
奴をこの家に残してわたしは去れない。
だが救世主はこの手にない。
私は考える。


答えは、、、、。



2/15/2025, 10:56:15 AM