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わん、と震える空気
火の付いたように叫ぶ命
乞い願い待ち望んだ
宙を掻く無力な手足
見たかった透明の奥
聞きたかったその声
知らず微笑み歓喜する
君を、今の君こそを
ずっとずっと待っていた!

‹君の奏でる音楽›


黄色の花弁が揺れている
密な種子を携えて
赤の果実が溶けている
溢れる甘味を止め処なく
青の紙片が揺れている
涼な音色を携えて
無色の氷が溶けている
満たせぬ冷気を止め処なく
小麦の君が振り返る
脱帽、深く礼をして

‹麦わら帽子›


夢を渡って何処へ行こう
曖昧な過去も不確定な未来も
君が望むなら何処へも行こう
誰と歩むかも分からぬ道も
君が選ぶなら其処へ行こう
星を渡り空を渡り
花を越え川を越え
確かに其処へ辿り着くまで
君が迷い挫けぬように
その行く先を然と照らそう

‹終点›

8/12/2024, 1:30:15 PM