小絲さなこ

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「友情は二番目」



彼女の趣味は貯金と筋トレだった。

「筋肉は裏切らないっていうけど、お金も裏切らないと思うのよ」
それが彼女の口癖。

預金の残高を眺めてニヤニヤ。
体脂肪率を計測してニヤニヤ。

そんな彼女だが、ある日救急搬送された。戸惑う間もなく、即手術。

ひとり暮らしで親も親戚も遠方。
冷えかけていた仲の恋人は見舞いに来ることはなく、唯一の友人が見舞いに来た。


「健康が一番ね……」
しみじみと呟くように言う彼女は、一週間の入院でずいぶんと痩せてしまったように見える。

「そうだね」
それだけ言って、友人は彼女の肩にかかるストールの位置を直した。


「彼氏とは……別れることにしたよ」

窓の外の空を見ながら、息を吐く彼女。
ずっと躊躇っていたけど、今回の件で踏ん切りがついたのだ。

「うん。それがいいと思う。彼女が入院したのに、一度もお見舞いに来ないなんて、冷え切っていたとはいえ、いくらなんでもありえない。ひどすぎる!そんな男、こっちから振ってやればいいよ!」

自分のことのように憤慨する友人の姿を見て、彼女は胸が温かくなるのを感じた。

「私と友達でいてくれて、ありがとう」



────お金より大事なもの

3/8/2024, 2:55:07 PM