色とりどり
白って200色あんねん、なんて同居人がつぶやく。何急にと半笑いで返せば、同居人は端末の画面をちゃんと認識してるのかわからないスピードでスクロールしながら言葉を続ける。
「実は白って200色以上あるらしい」
「そうなの?」
「うんでもはっきり色が違うって認識出来る色はめちゃくちゃ少ないんだって」
「へえ」
手元の端末の色はスターライト、いやこれはちゃんとした色の名前ではないか。なんていう名前なのだろうか、名前があるわけじゃなくて色番号?ってやつかな。端末カバーを取り外してみつめてると同居人は先程まで眺めていた液晶を伏せて、笑う。
「やっぱり何ごとも分かりやすいのが1番だよ。これは白じゃなくて乳白色なんですって言われても、いや白じゃんって思うわけ」
「それはひとそれぞれだろ」
「いっぱい色んな白を並べて、ほら見てください!色とりどりでしょう!って言われてみ?は?何言ってんだこいつってならない?」
何やらスイッチが入った同居人にそれはそうだと頷けば、分かりやすいのが1番だよともう一度ドヤ顔をしてから再び液晶に明かりをつけた。どうやら同居人のスイッチは一瞬で切れたようだ。結局白って200色あんねんの意味が分からなかったが、満足気なのでよしとしよう。
1/8/2024, 12:25:50 PM