『今日の心模様』
気分は体調によって左右されます。
私の今の気分は"悪"
深夜、不快感に目が覚めると案の定、
私が想定していた最悪の事態が起きていました。
ため息をつきながら私はシーツを剥いで、
燭台を片手に暗い廊下を歩いていると、
我が執事と遭遇してしまいました。
蝋燭の火に当てられた彼の銀髪は煌めき、金色の
瞳の中には橙色の炎が揺らめいてとても綺麗です。
「セバスチャン、あなたまだ起きていらしたの?」
「はい……それよりも、主、大丈夫ですか?」
「何がですか?」
「血の匂いがします…どこか怪我をされてるのでは」
彼の言葉で顔に熱がこもっていくのを感じました。
そうでしたわ。この者の正体は人狼。
人よりも遥かに優れた嗅覚を持っています。
「なんでもありませんわ!余計な詮索なさらず
さっさとお休みになられてくださいまし!」
心配そうに顔を覗き込んでくる執事の胸を押しやり、
半ば八つ当たりするように足音を立てながら
早足で洗濯場へ向かいました。
セバスチャンはなぜ主が怒っているのかわからず、
暫くその場に佇んでおりました。
後日、彼は魔術師に事情を話して
その意味を知りましたとさ。
4/23/2024, 5:45:08 PM