日向崎萱

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ひたすらやり続けることが、人を幸せにした。
電気を食っては翼をつかって送風に送風を重ねることが、人を幸せにした。
本当はつまらなかったが、これしかできない自分を「幸せ」と捉えてくれることに感謝だった。

けれども時代は変わってしまった。
もっと有能な、もっと静かな子が出てきて
私はどんどんいらなくなった。
気づけば翼も折れて、捨てられて。

でもそんな絶望の中で、私の翼は動いた。
つまらないことが習慣になって、電気を食った私は、人の指先をズタズタに。

そう、私は扇風機。つまらないことでもずっと続けてきたからこそ、最期に私は一矢を報いることができた。

8/4/2023, 12:39:21 PM