NoName

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「どうしたの?」
『気にしないで』
「はい、ハンカチ」
『…ありがとう。』
「なにかあった?」
『ううん、なんでもない。』

貴方自身しか知らない、涙の理由。
私がいつ聞いてもいつも話してくれない。

『ねぇ、私がいなくなったらどうする?笑』
「なんでそんなこと聞くの笑」
『なんとなく。聞いただけだよ』

これは本当に“ なんとなく ”なの?

「うーん。まあ、探し回るかな。」
『嬉しい笑』
『じゃあもし、私が死んじゃったら?笑』
「……」
「何があっても守るから死なせないよ」
『…それは無理、だよ』
「なんて言った?」
「それは無理?ねぇ、どうしたの?」
『……。』
「…泣かないでよ。」
『なんとなく。笑』

それも“ なんとなく ”じゃないんでしょう?

『それじゃあ、ばいばい。』
『今日もありがとう。』
「…また明日ね?」
『…』
「また泣いちゃって、笑」
「いなくならないでね。」
『ごめんなさい。』

嗚呼。やっと貴方が涙を零している理由がわかったの。
貴方がいなくなるんじゃなくて、私がいなくなっちゃうから
涙を零しているのね。
私の為に泣いてくれてありがとう。

───涙の理由───

10/10/2023, 3:46:37 PM