Ponnu

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途中書きです。すみません。

「永遠の花束」

「何を育てているの?」
私の質問に彼は決まって「秘密」と言う

彼は園芸部の部長さんで
毎日朝早く花壇に水を注いでいた
だけどいつまで経っても何も生えてこない

今日も私は朝早く花壇に水をやる彼に会いに行く
そしてまたいつもと同じように質問をした

「何の種を植えたの?」
「秘密」
「花は咲くの?」
「秘密」
「いつになったら芽が出るの?」
「…わからない」

いつも「秘密」しか言わなかった彼がそれ以外の回答をすると思わなくて私は嬉しくなってずっと聞きたかった質問を彼に投げかけた

「なんでいつも『秘密』なの?」
「秘密」

彼の回答はまた「秘密」に戻ってしまった
でもその日を境に彼は「秘密」以外の言葉も少しずつ口にするようになった
相変わらず私の質問に答えるだけで自分から話すことはなかったけど

ある日育てている植物ではなく彼自身のことについて聞いてみた
思えば彼のことは園芸部の部長さんということしか知らなかった

「何年生なの?」
「…3年生」
「同い年なんだ、知らなかった」
「僕はずっと前から君のこと知っていた」
「…同じクラスになったことあったっけ?」
「秘密」

これが初めて彼が自分から自身のことを話した出来事だった


2/5/2025, 9:58:23 AM