向かい合わせ
どうして私達は分かれてしまったのでしょうね。
額を合わせた片割れが痛みを堪えるように言葉を紡ぐ。
どこまでも、どこまでも同じ姿形であるのに。
心の持ちようも、肉に隠れて見えないものまでもが全て。寸分違わず同じであるのに。どうして分かれてしまったのでしょうね。
まるで、そのことが最大の過ちであるかのように。絡めた指を震わせて、罰に怯える罪人のような声で音を紡ぐ。
「──ほんとうに。なぜでしょうね」
同じように震わせた声に、閉ざされていた瞼がひらく。
真っ青な瞳。海を思わせるそれに映るもうひとりを見返して、私は憂いを乗せて囁いた。
「かみさまはいじわるだわ」
あなたといっしょなんてまっぴらよ。
8/25/2023, 3:05:17 PM