かの悪役、マレフィセントは云った。
「みな、よく聞け。
姫は確かに優雅に美しく成長し誰からも愛される。だが、16歳の誕生日の日没までに、姫は糸車の針で指を刺し、そして死ぬだろう!」
祝福と呪いは表裏一体。彼女の贈り物は祝福でもあり、呪いでもあった。結果、姫は運命の人と結婚し幸せに暮らしたとかどうとか。…くだらぬ。
皆言うだろう、己が招待されなかっただけでなんて酷いことを…!と。だが、考えてみてほしい。マレフィセントは確かに彼女に贈り物を授けたのだ。
彼女は、なにか間違ったことをしただろうか。
呪いは、ただの試練だ。
それを乗り越えた先に、幸福があるのだろう。
呪いではなく、ただのお呪い。彼女は、とても優しく、美しい悪の女王だったのだろう。
ただ、周りに咲く美しき薔薇に棘が多すぎただけのこと。茨と薔薇は一緒にしてはならぬものだな。
1/23/2025, 9:40:40 AM