「パラレルワールドって何?」
学校の図書室で勉強中に、向かいに座っている凛子が聞いてきた。
「…」
私は無視して黙々と数学の問題を解く。
「寄生虫に支配された世界のこと?」
「それパラサイトワールド」
しまった、つい反応してしまった。
そう思いつつ、何もなかったかのように再びノートに目を移す。
「じゃあ、ずっと雨が降ってる世界のこと?」
「それパラソルワールド」
「一人だけの世界のこと?」
「それパーソナルワールド…って勉強の邪魔しないでよ!」
「ノリノリだったくせに」
ニヤニヤと紗奈は意地悪く笑う。
「で、結局どういう意味なの?」
はぁ…とため息が出る。
「今の無駄な会話がなかったら、私はその分勉強できて、いい大学に行って!かっこいい彼氏ができて!!幸せになるかもしれない!!……その世界線のことだよ」
「へー…でも今の会話がなくても、世界線は何も変わらないと思うよ」
おい。と怒ろうとしたが、「でも…」と凛子は続ける。
「今あたしが紗奈に好きだと告げたら、どういう世界線になると思う?」
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長い熟考もとい麻痺の末、私はゆっくりと言葉を紡いだ。
そして私たちの世界は分岐した。
9/25/2025, 12:33:52 PM