maria

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「好きな本」


没頭して本を読んでいくと、

油断しきった むき出しの心が

唐突にズタズタになることがある。

私はこの物語の主人公の直ぐ側に

こうして寄り添っているのに

何もしてあげられないもどかしさ。


あるいは、この私こそ

あなたに救われたくて

手を差し伸べるのに

空を掴むだけで

壮大な物語は 

私を除いた 私以外の者共だけで

完璧な調和を保ち The Endを迎える。

私一人を置いてけぼりにして。






だから私は

毎夜、こうして文章を連ねる。

何よりも自分が救われたいがために。

何よりも自分が傷ついているがために。



好きな本。 

それは私が いまこうして纏う

私自身の鎧となり

私自身の武器そのものである。

より強く より高く より遠く 

それらはいつか

究極の武器となろう。


          「好きな本」

6/15/2023, 1:34:54 PM