思い出

Open App

在る日の朝、今日も学校が有ると落ち込んでいた日。

勿論、学校を面倒いの一言だけで休めるわけも無く、

「おはよ。今日の授業何だっけ?」

面倒い、と考えながら自転車を信号待ちで止まっていると後ろから彼の軽い声が聞こえた。

私は振り返り、

〔数学、国語、日本史、化学、体育、ホームルーム。
確か、こんな感じ。〕

と答えた。自分でも驚く程に低い声が出た。

彼はその声を聞いてだろう、苦笑いしていた。
あと、人の顔を見て一瞬固まらないで欲しい。
能面みたいな顔になっている事なんて、朝、鏡見た時に気付いてる。

「よく覚えてるね。ダルい授業のフルコンボ。
5時限目の体育程、しんどいものはない。」

私はその言葉に深く頷いた。
彼は続けて、

「体育って、室内?バスケならやる気出るのになぁ。」

自転車のハンドルに両腕を乗せ、其処に顎を乗っけて言った。分かる。

だが、私は彼に、現実を告げた。

〔バスケなら良いのにね。現実は校庭で体力作りとか。〕

それを聞いた瞬間、彼は天を仰いだ。

私はそんな彼に、

〔信号変わったから行くね。〕

と、一言だけを告げ、走り出した。

同じ体育なのに、校庭という場所。体育作りという内容。
体育館という場所。バスケという内容。

そんな教師から見れば割りと些細な事の差だろうに、
どうしてこうも、学生からすれば重大な差になるのか。

9/3/2023, 11:32:13 AM