星が溢れる
あんなにたくさんの星が近くに見えたのは、初めての事だった。
小学生の頃から、親に連れられて何度も登山はしていた。
ハイキングのような低い山から、2000m、3000mの山も、車で途中まで行って登ったり、頂上まで行かず、途中でお弁当を食べて帰ってきたりと、日帰りの登山は何度か経験してきた。
その山は、初めてではなかったが、泊まるのは初めてだった。
1日目は山小屋までの登山。
家族と親戚で、楽しく登った。
山小屋は狭く、自分の寝る場所はたたみ一畳ほどしかない。
次の日は早朝に起きて、ご来光を見るために頂上を目指しての登山だ。
私は仲の良い従姉妹と体を寄せながら眠った。
何時間たったのだろうか。
体を揺さぶられて目が覚めた。
従姉妹が一人でトイレに行けないから、ついてきてほしいと言ってきた。
トイレは山小屋の外にある。
確かに1人で行くのは不安だ。
私は一緒について行った。
私はトイレの前にある大きな石に座り、従姉妹はトイレに入って行った。
あー、目が覚めちゃったなと、なにげに上を見た。
度肝を抜かれるとはこのことか。
今までで見たこともない、たくさんの星。
その星たちが、手が届くのではないかと思うほど近くに見えているのだ。
圧倒されて、寒さなど忘れてしまった。
私は星に手を伸ばした。
つかめるはずがないのに。
トイレから出てきた従姉妹に、興奮気味に伝える。
従姉妹も星たちを見て感動していた。
普段下界では見れない星もみえているのだろうか。
星ってこんなにたくさんあるんだと実感できた。
次から次へと流れ星も見える。
「たくさん流れるから、願い事し放題だね」
従姉妹と私はそう話しながら、眠気や寒さを忘れて願い事をした。
どんな願い事をしたのか、今はもう忘れてしまったが。
3/15/2026, 12:18:01 PM