NoName

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真夜中にふと目が覚める。起きるにはまだ早い時間。それから再び眠りにつくまで、真っ暗な天井を見つめるしかない時間が始まる。
それは無限のように思えて、なんだかすごく怖かった。世界に自分1人しかいないような気がして。

そんな日は、いつでも唐突にやってくる。
いやだなぁ。
ひとりごちて天井を眺めていると、寝台の上から音が鳴った。友達からの着信だ。暗い中光る猫のアイコンが眩しい。
「起きてるー?」
私が起きてなかったらどうするつもりだったのだろう。まぁ、そんな事いちいち考える子じゃないか。
「起きてるよ」
「嫌な時間に目が覚めちゃったねー、お互いに」
「そうだね」
「ねぇね、眠るまで一緒に話さない?」
「いいよ」
考えもなしに答えていた。余計眠れなくなるとか、そんな事は考えなかった。

こうして無限のような怖い時間は、マイペースな友達との談話の時間に変わった。友達の間伸びした声に、だんだんと眠くなる。
「おやすみ」
眠りに落ちる瞬間、彼女がそう言った気がした。

5/18/2024, 8:40:16 AM