あめめ。

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記憶の海

わたしの記憶の海は、濁っていて、身体を浸すと纏わりついてくる。汚くて、重くて、底が見えないくらい真っ暗で。空も曇っていて、光すら見えなくて。
でも、そんなところにあなたが来て、あなたは光を与えてくれた。真っ暗な海の底から記憶のひと欠片をすくい上げて、あなたは優しく抱きしめてくれた。否定され、拒絶され続けたわたしの想いを、あなたは受け入れて愛してくれた。あなたの優しさで、少しづつわたしの海がグレーになっていく。
黒に白を足しても綺麗な白にはなれない。そんなことは分かりきっている。でも、綺麗な白になれなくても、黒色は薄くなっていく。
わたしの記憶の海が完璧に綺麗になることはないでしょう。でも、あなたが光をくれたから、空は少しづつ晴れて、水は濁りが減っていく。いつか、黒色の少なくなった記憶の海で、あなたを笑顔で待てたなら。

5/13/2025, 2:55:49 PM