ね。

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ゆらゆらとゆれる海の底で、輝いているのは光の塔です。そこは、住む人がみな癒やしを求めて集まるところ。海の底の静かな街です。 

生命が誕生すると、光の塔の輝きが増します。きらきらした粒があちこちに舞い踊り、軽やかなメロディーを奏でます。街の人びとはそれをみて、共に歌います。その歌に合わせて海の生きものたちも楽しそうに泳ぎ、ゆらめきます。


街が1番輝くのは、満月の日です。深い深い海の底にある街に月の光が届くのは、満月の日だけなので、みなその日を心待ちにしています。満月はとても大切な日なのです。



今夜は満月。
「今夜は特別な光が届く。みなで祈るのじゃ」
と、長老がみなに伝えました。
街の人びとはそれぞれ大切なものを持ちより、光の塔のまわりで満月を待ちます。

月が満ちて、海がぱかんと割れて、海底の街に月の光が射し込みました。なんともいえない心地よさに、みな目を瞑り、祈りはじめました。祈りは光となり、月の光と混ざり合ってさらに輝きを増しました。そして、ゆっくりゆっくりらせんを描きながら昇っていきます。人びとは目を開け、その光景を黙って見守ります。その光が海の上まで到達したとき、ぱかんと割れた海は元に戻ります。


「祈りは通じた。みなご苦労じゃった。さて今宵は朝まで歌い踊ろうじゃないか!」
長老の言葉に、みな歓声を上げ、宴がはじまりました。今夜の海底の街は、いつも以上にきらめいています。



12/6/2025, 7:11:58 AM