あんたはあたしに言った。
「だいすきだよ」って。
かわいいリボンをつけたあんたが笑った。
水玉模様のワンピースと、
あたしの心がふわりと揺れた。
でもその「だいすき」は、
あたしとは違うでしょ?
だって、あんたには彼氏がいるんだもの。
あたしの思いは伝わらなかった。
いや、伝えても届かなかったの。
あたしの声は伝わらない。
あたしの「すき」は届かない。
ある日ね、あんたの彼氏から告白された。
顔が好みだったらしい。
あんたのことを可哀想だと思うとともに、
奇妙な喜びが浮かんできた。
あたしは返事をした。
それから彼と付き合った。
そいつのことは好きじゃなかった。
むしろ、大嫌いだった。
でもあたしはね、あんたのそのかわいい顔が見れるなら、
気持ちの悪い男とだって恋人として振る舞ってみせる。
あたしは言った。大嫌いな男に言った。
「ねえ、ひとつ伝えたいことがあるの」
その言葉がなんだったのかは、あんたには分からない。
でも、たしかに、
大好きな人に伝わるはずの思いだった。
『伝えたい』end
2/13/2026, 10:07:41 AM