実際のところ、恋人のことは閉じ込めてしまいたいと思ってる。 誰にも見せない。聞かせない。触れさせない。 そう出来たらいいのにな。「なあ、もし、俺が…………」「うん?」 焦げ茶色のタレ目が、俺を見つめる。「……手料理作ってほしいって言ったら、どうする?」 言葉は、別方向に舵を切った。「レモンシャーベットじゃダメ?」「いいぜ、それでも」 すっと手を伸ばすと、掴んでくれる手は冷たい。その温度に安心した。
3/30/2024, 10:08:58 AM