お題:最後の声
『思い出』
今はいない
かつていたものの話
人はいつしか
己を取り巻くものを畏怖し
それらは姿を見せなくなった
それでも確かに存在していて
今もたまに声が聞こえる
かつては見えたその姿も
今ではとても朧気で
知らぬ振りをする人が増えるほど
我らは姿を無くしてゆく、とそれは言った
どれほどの時が過ぎたのか
かつては聞こえたそれらの声も
もう私には聞こえない
でも、確かに覚えている
最後にそれは私に言った
「笑え、そして生を楽しめ」
「たとえ我らがいなくとも、そなたは自分で歩けるのだから」
拝啓、桜守の君へ。という久夫夕貴さんが書かれた小説から着想を得たものです。
機会があれば、ぜひ読んでみてください!
6/26/2025, 1:55:04 PM