るに

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あー、そうか。
泣いちゃってもいいか。
ただちょっとした事だった。
それが積み重なった。
私の肩を重く苦しめた。
動きやすい服で
家を飛び出して
夜の街を早歩きで歩いた。
誰も見てないから、
ここでは泣いてもいいんだなんて
気づいた途端に涙が溢れた。
風のいたずらで
泣き跡が冷たく乾く。
暖まれる場所を求めて
適当にまた歩き出す。
ふと、
雑貨屋さんを見つけたから
入ってみた。
個性的で不思議な感じがした。
暖まるために入ったのに
中はひんやりしていて肌寒かった。
フクロウに似た店員さんは
チラッと私を見てから
すぐに目線を元に戻してしまった。
まあ、
泣き跡がある少女になんか
関わりたくないよな、と
勝手に納得した。
小さなカフェもあったが
食欲は微塵もなかったので
何も頼まなかった。
というか、
お金を持っていなかった。
家に置きっぱなしだ。
また今度ここにきて
何か買おうと思った。
また来ます。
会釈しながらそう言ってドアに手をかけると、
店員さんは
"Good Midnight!"
と言った。
見た目も言葉もお洒落な人だったなぁ。
いつの間にか嫌な事も忘れて、
泣いていたのに笑っていた。
たまには夜更かしもいいか。
雨が降りそうな曇り夜空に
そう呟いてみた。

1/17/2025, 1:16:48 PM