谷折ジュゴン

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創作 「安らかな瞳」
谷折ジュゴン

「ちゅうちゅうたこかいな……ちゅうちゅうたこかいな……」

「何を数えてるんにゃ?」

「ん?安らかな瞳で過ごしてる、にんげんさん数えてるにゃぁ」

「へぇ、どんくらいおるんにゃ?」

「わからん。でも 、うんといるはずよぉ」

「もっと増えてほしいねぇ」

「そうさねぇ」

山の上の古びた社で、小さな猫のあやかしたちがニコニコしながら話しておりました。

「やさしいにんげんさん増えて、にゃぁたちを大切に扱ってほしいねぇ」

「にゃっ、誰か来たにゃぁ」

二匹は急いで社の中に隠れます。獣道を抜けて現れたのは背の高い青年でした。

「ああ、こんな場所があったんだ、あれ?」

社の扉の隙間から、ひょろりと長い二匹の尻尾が見えています。

「これか、噂の猫のあやかしたちというのは」

「にゃ、見つかっちゃったにゃぁ」

「こんにちは、にんげんさん。この山に何をしに来たのにゃ?」

「君たちに会いに来たんだ」

これが二匹と青年の出会いでした。

(終)

3/14/2024, 10:52:27 AM