圭昭

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見つめられると

別れの言葉を言おうとあなたと向かい合った。
人の黒ずんだ一面を見たことの無さそうなその純粋な目で見つめられてしまうとなんでも話してしまいそうだった。
南風がすべてさらけ出せと囁くように吹いた。
いつからか吐きそうなほどあなたを憎んでいた。
町中で見かけた美人を目で追うように、嫌いな人を眼中から外すように、抗うことなくあなたを嫌いになった。
出会った頃から変わらない人をどこまでも信じられる心。
あなたの持つ無償の愛が許せなかった。
あなたは唯一の愛と名乗ったくせに愛を沢山持っている。
誰かを愛したって何かが返されるわけじゃない。
それなのに他者へあなたは愛を送り続ける。
おぞましいとしか思えない。
寒気が全身を覆い自分の小ささを知ったようだった。
あなたに全てを吐き出して、傷つけて嫌われれば楽になれると何度も思った。
そう繰り返していくうちに顔も見たくないほどあなたを嫌いになった。
ずっと最初で最後の運命の出逢いだと思っていたのに。
あなたは相変わらず澄んだ瞳で私を見つめている。
夕焼けは愛と憎しみを焦がして沈んでゆく。

3/28/2026, 1:52:37 PM