Theme:夜明け前
『この研究所はもうすぐ爆発する!急いで脱出するぞ!!』
主人公がヒロインの手を引いて走る。
パニックホラー映画でお決まりの展開だ。
ついでに、無事に脱出した後にだいたい夜明けが訪れているのもお約束だ。
もし私がこの映画の登場人物だったら…。
この手を映画を観ていると、ついつい考えてしまう。
私が登場人物だったら、おそらく真っ先に脱落するだろう。
「化け物だって?そんなものいるわけないじゃないか。でも彼女が不安そうにしてるから、ちょっと物音のした方を見てきてやるよ!」
これは最初に脱落した人物の台詞だが、私がこういう状況でいかにも言いそうである。
「化け物なんているはずがない」という理性と「もしいるなら見てみたい」というちょっとした好奇心。
そして「物音を確認してくるのは少し怖いけど、いいところを見せたい」といういくばくかの見栄。
…これらの性格から導き出され私の行動は「第一の被害者」と完全に一致する。
この手の映画は好きだが、私はどうやら夜明け前まで生き残れそうにない。
でも、登場人物たちの中で一番最初に化け物、もとい恐怖の正体を見ることができるのは、ある意味最初の被害者の特権ではないだろうか。少なくとも好奇心は満たされるだろう。仲間への注意を促すという意味でも、彼の存在と退場には意義があるのだ。
…と考えてはみるものの、やはりこのポジションは所謂「噛ませ犬」なんだよなぁ。
そう考えながら、私は同作の2作目に手を伸ばすのだった。
9/13/2023, 12:23:47 PM