「おれ、明日真美に告ろうと思うんだ」
私は知っている。真美と賢治は両想いなこと。
ずっと好きだったけど、賢治が真美に告白すれば100%OKするだろう。もう彼の気持ちは変えられない。
明日から彼は、他の人のものになる。
……やだ。そんなの耐えられないよ
ずっと賢治が好きだったのに。なんで真美なんかに…!!
なーんて、嘆いても仕方がない。私の魅力不足だ。
「…そっか、がんばってね!でも…」
私は賢治に持たれかかる。
「…えっ??」
明日にはあなたは他の人のものになってしまう。
なら…せめて、今日だけは許して。
今日だけは、貴方に私の気持ちをぶつけてもいいですか。
今日だけは、貴方に甘えてしまって構いませんか。
承諾もなく、私は彼の顔すら見ず体温を感じていた。
十分間の出来事が、まるで十秒のように感じられる。
十二時に時計の針が動く。もう、気持ちは吹っ切れた。
…いや、そんな訳はないけど。もう、吹っ切れなければならないのだから。しょうがない、そういう運命だった。
涙が頬を伝う前に、彼のもとを私は足早に去っていった。
急に肩にもたれて何も話さず、十分後そそくさと何処かへ行く私を見つめる彼は、本当に気が抜けたような顔をしていた。それが、私が見る最後の彼の顔―――――
…に、なるはずだった。そう思ってた
後日、友達から「真美が賢治の告白を断った」という噂話を伝えられるまでは。
10/4/2025, 2:46:24 PM