短冊に書いた願い事は、叶うものだと思っていた。
「お金持ちになりたい」
「あのおもちゃが欲しい」
「〇〇くんと仲良くなれますように」
幼い私は、毎年、そんな子どもらしい願い事をしていた。
そんな願い事の中、小学校2年生に書いた願いは、今でも覚えている。
黒板に掲示された笹のイラストに、それぞれ短冊を貼る時間があった。
そんな、みんなの目につくところで、当時の私は
「パパとママが仲直りできますように」
と言う願いを、無邪気にも掲げたのだ。
ちょうど、数ヶ月前に両親が離婚した時だった。
幼い私には、離婚の意味がイマイチ分かっていなかった。
ただの喧嘩で、また仲直りすれば一緒にいられる。
そう思うようにしていた。
その短冊を黒板に持って行った時、先生が困った顔をしていたのを覚えている。
それに反して私はケロッとして、短冊が願いを叶えてくれるんだと信じて疑わなかった。
それから何年、何ヶ月経ってもお父さんとお母さんの仲は戻ることがなくて、私は、七夕なんて信じなくなった。
お題『七夕』
7/8/2024, 6:07:02 AM