永遠の花束
もう使う人がいなくなった妻の部屋に入った。娘と息子は私が来るまでに何度か立ち寄っていたのだろう。私が最後に来た時よりも綺麗になっている。が、机の引き出しが中途半端に開け放されていた。
動きが悪く少し開いてみるとノートの間で隠すように一枚の写真が残っていた。
この写真は今から何十年も前のものだ。どんな会話をしたのか、今となっては思い出せない。だが、あの日は君の誕生日だった。ピンクの花が好きな君に私は柄にもなく花束を送ったのだ。
一枚の紙になったモノクロの世界が私の胸元で色づいている。
2/4/2025, 12:06:19 PM