月下の胡蝶

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お題《心の灯火》


俺の心に月をくれたのは、お前だ。


俺にとっての道標は、今も昔も月(おまえ)だよ。





わたしが?



目線を合わせ、やさしい声音で語りかける夜を纏う青年。



わたしが……。



青年の深い青の瞳が少女を慈しむように見つめる。青年は神代(かみしろ)と呼ばれる、《神の代行者》。


神に代わって、神の意思として――。



「君はもっと泣いていいし、俺を頼っていい」


「……でも。私は狭間の……」


「そんなの関係ない。君であるなら、俺は何者でもかまわない」





これ以上何を望むだろう。






私はこのとき誓った。――あなたをもう、悲しませたりしないって。




9/2/2022, 11:12:39 AM