たった1つの希望はあなたの首に絡めた指だった。固くギリギリと汗とあなたの口から垂れる唾液で滑る指を僕は必死に絡ませて、正気を失い魔天に堕ちたあなたを葬る為に力をこめ続ける。
数日前にあなたから贈られた指輪が、あなたの口許から垂れた唾液と血液で濡れそぼっていく。
それが酷く虚しくて、僕は唇を噛み締めた。
グッと喉仏を押し込んで、あなたの息の根を止める。先程までガリガリと僕の腕を掻きむしっていた指が、ダラリと垂れて動かなくなった。そのまま僕はあなたの脱力した体に縋り付き、最期の息吹を感じる為に半開きのままのあなたの口に、許されざる口付けをした。
ごめんなさい、愛しい人。どうか僕を許さないで、離さないで。
離したく、許さない。愛なんて全て燃やして、燃やし尽くして、灰にしてやる。
あなたを奪った魔天に……いいや、僕を置いていったあなたを、この蒼炎で焼き付くそう。
そうしてあなたは新生する。僕の炎の一部として。
3/2/2026, 12:33:08 PM