両親が亡くなった。
僕は希望も未来も全てを失った。
なんか、全てがどうでも良くなった。
苦しいのが辛かったのが全部無くなった。
でもそれは、ある日突然変わった。
それは君の目を見てからだった。
君の瞳は、希望に満ちていて繊細で透き通るような瞳をしていた。
惹きつけられるように美しかった。
生きる希望を捨て、何となく生きていたが君に出会ってから、君の目を見てから生きる目的が何となく見つかった。
でも、こんな小説のような話が続くのはここまでだった。
こんな未来なんか見たくなかった。
こんな事になるなら君に出会いたくなかった。
ある日僕は近所の人が話してるのを聞いた。
「ねえ、聞いた?お隣さんの家族、親だけが亡くなって子供さんだけが残ったって。しかも親御さんを轢き殺したの、子供さんの友達だって。本当可哀想。私だったら絶対後を追って自殺してるもん。」
一瞬、理解できなかった。
頭が回らなくて、割れるくらい痛くなって意識が朦朧としていた。
そこから僕の記憶はない。
気づいたら僕は真っ白のベッドの上にいた。
目の前には涙をボロボロ流して僕の横に座っていた君だった。
まるで時間が止まったように僕と君だけの空間になった。
何か話さないと、と思うけど上手く言葉が出てこなかった。そんなこんなしていたら先を越された。
「もう、起きてくれないと思って、話せないと思って、謝らないといけないのに」
と泣きながら鼻水ダラダラで言ってきた。
「謝る」って何だ。
僕の頭の中はそれでいっぱいになった。
君は涙を止め、鼻をかみ、話を始めた。
「ずっと、ずっと前に言わないといけなかったけど怖くて言えなかった。
もう話せないと思って、もう会えないと思って。でも言うね。」
「実は〇〇の親御さんを轢いたの、私のお父さんなんだ。
早く仕事に行かないといけなくて急いでいたんだって。本当にごめんね。
「ごめん」なんかじゃ足りないのに。
これ慰謝料というか、ごめんなさいのお金です。何十万かは、入ってるから生活費の足しにしてね。今までありがとうございました。」
と震えながらも淡々と話していた。
僕は君に問いかけた。
「僕は全然気にしてないよ。
そりゃ、両親が亡くなったのは悲しい。でも今はそれ以上に守りたいもの、大好きなものが出来たんだ。「今まで」じゃなくて、「これからも」でしょ?笑笑」
正直言って、悔しかった。悲しかった。
でも君は何も悪くない。
僕、知ってるよ。
3個もバイトを掛け持ちして必死に働いてお金稼いでたの。
稼いだお金を慰謝料とか言って僕に渡してきたお金が君のバイト代だってことも。
4/6/2024, 3:51:06 PM